憲法解釈変更による集団的自衛権行使容認の閣議決定に対する談話
事務局長 出村 良平
安倍内閣は本日、国民の半数以上が反対し、道内においても40以上もの市町村議会が反対を決議しているにもかかわらず、戦後守り続けてきた専守防衛という安全保障に関わる基本方針を一片の内閣で覆し、憲法解釈の変更による集団的自衛権行使を容認する閣議決定を強行した。こうした国民無視、国会軽視の独裁的政治手法に満身の怒りをこめて強く抗議する。
集団的自衛権の行使は憲法上許されないとしてきた歴代政権の見解を時の政権の一存で変更することは、国民主権をないがしろにし、権力の暴走を縛るとした立憲主義を否定する。また、最高法規である憲法の信頼性や権威をおとしめ、法治国家の存続さえも危ぶまれるものにするなど、断じて認めるわけにはいかない。
閣議では、武力行使の3要件として「日本と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、国としての存亡や主権が根底から履がえさせる明白な危険性がある」として集団的自衛権に踏み込む一方で、「武力行使は限定的」とする、これまでの政府見解を一部適用し、国民を欺きながら「行使容認」に導いた。
また、首相の私的諮問機関である安保法制懇の報告により、集団的自衛権の行使容認に向けた政府の基本的考え方を誘導し、閣議決定に至った。国会論議や国民合意を意図的に封じ、こうした世論を導くような政権運営は、手続き的に不適切で民主主義を崩壊させるものであり、決して許すわけにはいかない。
憲法解釈変更による集団的自衛権の行使容認の理由として、安全保障環境が根本的に変容し、一国のみで平和を守ることはできないとして国の責務は平和と安全を維持し、国の存立と国民の生命を守ることを上げている。しかし、「行使容認」によって、平和国家として築いてきた世界からの信頼や地位が揺らぐとともに、海外の武力行使に道を開き、東アジアの緊張を一層高める危険性が生じるなど、むしろ国民の生命や財産が脅かされることを強く懸念する。
連合北海道は、安倍政権の暴走を許さず、憲法解釈変更による集団的自衛権行使容認の閣議決定に断固反対し、憲法に基づく平和的な外交力を高めることを求めるとともに、平和を願う多くの市民と連帯して憲法の基本的人権の尊重、国民主権、平和主義の三原則の貫徹を期し、平和な社会の実現に向けて組織の総力をあげて運動を進めることとする。
以 上
2014年7月1日 | カテゴリー:談話