「検察幹部の定年延長を可能とする」検察庁法改正案に対する事務局長談話
2020年5月18日
「検察幹部の定年延長を可能とする」検察庁法改正案に対する事務局長談話
日本労働組合総連合会北海道連合会
事務局長 藤盛 敏弘
安倍政権は、多くの国民をはじめ元検事総長や元各高検検事長経験者さえも反対する中、検察幹部の定年延長を可能とする検察庁法改正案を国家公務員法改正案との「束ね法案」として審議を進めている。
連合北海道は、公務員の65歳への定年引き上げについては諸環境の変化等を踏まえた不可欠な勤務条件であり、必要とされる社会的政策と認識する。
しかし、時の政権の裁量により検察幹部の役職延長や勤務延長を可能とする内容を含む検察庁法改正案は、検察官人事における内閣の関与の範囲など丁寧な議論と国民理解が必要であり、国家公務員法改正案と切り離し審議すべきである。
昨年秋の段階では単に検察官の定年を延長するだけの検察庁法改正案が、今年春の改正法案では「内閣や法相の判断で検察幹部の定年や役職定年が延長することができる」内容の新たな条項が追加された。
これでは、検察人事に政治の関わりが大きくなり、時の政権の意に従うよう検察の動きを封じ込めるものとなり、時の総理大臣さえも逮捕・起訴する強い権限を持つ検察官の政治権力からの独立と政治的な中立性が損なわれる。
内閣委員会での法案審議においては、野党の「定年延長させる具体的基準」の質問に対し、法相は「現時点、定められていない具体的内容を全て示すことは困難」と答弁した。これは政治権力の恣意的人事が生じる可能性を否定出来ず、法の安定性が欠落した杜撰な法案であることの証左である。
いま、コロナ禍により国民は不要不急の外出を控えている。今この法案を、この国会で扱う緊急性は全く無い。
安倍政権がやるべき事は、長期的な戦いといわれる新型コロナウイルスで苦しむ国民の命と健康、経済と雇用を守るための第二次補正予算の早期成立であり、医療・研究をはじめとする新型コロナ対策が先決である。
連合北海道は、主権者である国民を守る三権分立を堅持するため、多くの国民の疑念がある中で、検察庁法改正案を強引に審議し成立させる事に反対する。
この時期、集会・デモの開催ができない状況にあるが、HPやSNSでの拡散など、民主主義と三権分立を守る取り組みに全力で取り組む。
2020年5月18日 | カテゴリー:談話