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衆議院解散・総選挙にあたっての談話

事務局長 出村 良平

1.安倍首相は、来年10月に予定されている消費税率の10%への引き上げの先送りの是非を問うために、11月21日の衆議院本会議で衆議院を解散し、直後の臨時閣議で総選挙の日程を12月2日公示、12月14日投開票とすることを決定した。
民主党政権が惨敗した2012年12月の解散・総選挙から2年が経過し、任期満了まで2年も残した時期での選挙である。この解散は、政権を長期に持続可能とするための党利・党略を最優先したものである。

2.政権交代以降、この2年間政権与党は、労働法制の改悪推進、国民生活に目を向けない「アベノミクス」の推進、社会保障と税の一体改革の前進と衆議院議員定数削減の棚上げ、「政治とカネ」、特定秘密保護法や憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使容認の閣議決定などの政権運営に関する問題を覆い隠すことを企図した解散は、まさに「大義なき解散」であることは明白である。
政権与党の経済政策、働く者を犠牲にした経済成長に基づく社会像、さらにこの2年 間の政権運営について国民の審判を問うべきである。

3.安倍政権の先送り論の根拠とされる景気動向の悪化は、円安と株高誘導に導いた異次元の金融政策など「アベノミクス」の経済政策にある。株高は一部大手企業(株主)や投資家等のみにしか恩恵が得られず、さらに異常な円安により、特に輸入産業は赤字が増大し、国民は物価高騰により購買力が低下するなど苦しい生活を強いられている。今必要なのは、失敗した「アベノミクス」の経済政策を検証し、国民生活の全体を向上させるための新たな景気回復のための諸方策の確立こそが求められている。
連合は、「STOP THE 格差社会!暮らしの底上げ実現」キャンペーンを全国展開し、格差是正、生活の底上げ・底支えの必要性を訴え、「働く者・生活者」の立場にたった政策の実現を求めてきた。さらに、労働者の賃金引き上げ、非正規労働者の待遇改善の取り組みを強化するものである。

4.今総選挙は、「働く者・生活者」の立場にたった政治勢力を拡大するための重要な戦いである。
そのために、連合北海道は、一つに、労働組合における政治活動の必要性を理解し、組合員一人ひとりが政治参画する取り組みを強めることである。組合員との対話活動、青年・女性の取り組み等を援助し、分かりやすい政治研修会の開催などにより組合員の政治参画を促し、「投票に行こう!」運動を繰り広げ、期日前投票を促進させるなど組合員の投票率の維持・向上をはかる必要がある。
二つに、連合組合員はもちろんのこと、集団的労使関係の外にいる労働者、非正規労働者、貧困層などの社会的弱者も安心して働き、生活出来る日本社会を構築するために、労働組合としての社会的影響力を高める取り組みが必要である。
各自治体(地域)における産業・雇用の充実や勤労者の生活向上のための政策・制度の確立と民主党を中心とする政治基盤の強化に向けた各地協・地区連合の取り組みが必要である。地域の勤労者、農漁民、高齢者、福祉などNPO組織等との対話を通じて影響力を広げ、民主党への支持層を拡大する努力が求められている。
最後に、連合北海道は、民主党公認・推薦する小選挙区候補予定者全員の勝利、「比例代表選挙は民主党」を徹底し、その拡大に向けて組織の総力を挙げて戦い抜くことを決意する。

平成26年度北海道最低賃金改正に関する談話

事務局長  出村 良平

8月12日午後、北海道地方最低賃金審議会(以下「審議会」)は、平成26年度北海道の最低賃金を現行の734円から14円引き上げ、748円に改正し、10月8日から発効することで結審した。
地域最低賃金は、北海道の低賃金構造を改善し、「働く貧困層=ワーキングプア」の解消のためのセイフティネットの一つとして最も重要なものである。
本年度の審議会は、昨年同様「経済財政運営と改革の基本方針」及び改訂「日本再興戦略」に配意した調査審議を諮問されスタートした。
本年の審議に当たって労働者側は、低賃金ながら必死で働き自立しようとしている人々の生活に深刻な影響を及ぼしている足元の物価上昇を考慮するとともに、全道から寄せられた555団体に及ぶ声を反映して審議することを主張した。また、働く者が経済的に自立可能な水準への改定を強く求め、雇用戦略対話合意の800円、1,000円への引き上げに向けた道筋を付けることを強調した。
これに対し使用者側は、個別企業の支払い能力の限界を強調し、「中賃目安の14円」を大幅に下回る額の提示に固執した。
労働側委員は、「道内の非正規労働者数が、約96万人、比率も約43%と高く、3分の1が家計維持者であることを重視すること。年収200万円以下の労働者も40万人、割合も4分の1を超えていること」などを訴え、「生活できる水準」「仕事に見合った賃金としての適正水準」など、最低賃金のあるべき水準の議論を尽くし、昨年以上の大幅引き上げに最大限努めるよう主張した。
しかし、審議会議論は上記内容についての激しいやり取りとなり、発効日も昨年同様に遅れる状況となった。労使譲らず激しい審議が続く中、公益委員から「中賃目安などを考慮する必要もあり、14円の引き上げ」が提案された。
労働側は、引き上げに伴い、パート労働者に与える影響率(26.9%)が極めて大きいことや、使用者側が初めて14円の引き上げに合意したことなどから厳しい判断を迫られたが、最終的に4年ぶりの全会一致により結審された。
今年は、「STOP THE 格差社会!暮らしの底上げ実現」全道キャラバン第2弾の行動において、全道各地で街頭宣伝活動等を実施し、労働局前での昼休み集会、札幌駅・紀伊國屋前の「早朝街宣行動」などを展開し、道民世論の喚起に向けた取り組みに全力をあげてきた。
今回の改定額は、足元の物価上昇を考慮した生活できる水準という要求からして、決して満足のできる改定額とは言えないが、2008年の最低賃金法改正による生活保護とのかい離は7年の歳月を費やしたものの、やっと解消することができた。そして労働側が主張してきた800円、1,000円への引き上げに向けた道筋を付けるための表記が初めて答申書に記されたことは、極めて大きな意味あいを持つ結果であり、本来あるべき賃金水準のあり方を議論するスタートと受け止めたい。
本年度の地域別最低賃金の闘いは一定収束を図ることとするが、引き続く、特定(産業別)最低賃金の引き上げと、雇用戦略対話合意の800円、1,000円への引き上げに向けて、改正された最低賃金の履行確保、法令遵守を求めていく。
この取り組みに結集された産別・単組、地協・地区連合、関係各位のご協力に感謝し、引き続き、最低賃金の大幅引き上げに向けて、今後も全力を挙げていく。

憲法解釈変更による集団的自衛権行使容認の閣議決定に対する談話

事務局長 出村 良平

安倍内閣は本日、国民の半数以上が反対し、道内においても40以上もの市町村議会が反対を決議しているにもかかわらず、戦後守り続けてきた専守防衛という安全保障に関わる基本方針を一片の内閣で覆し、憲法解釈の変更による集団的自衛権行使を容認する閣議決定を強行した。こうした国民無視、国会軽視の独裁的政治手法に満身の怒りをこめて強く抗議する。

集団的自衛権の行使は憲法上許されないとしてきた歴代政権の見解を時の政権の一存で変更することは、国民主権をないがしろにし、権力の暴走を縛るとした立憲主義を否定する。また、最高法規である憲法の信頼性や権威をおとしめ、法治国家の存続さえも危ぶまれるものにするなど、断じて認めるわけにはいかない。

閣議では、武力行使の3要件として「日本と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、国としての存亡や主権が根底から履がえさせる明白な危険性がある」として集団的自衛権に踏み込む一方で、「武力行使は限定的」とする、これまでの政府見解を一部適用し、国民を欺きながら「行使容認」に導いた。

また、首相の私的諮問機関である安保法制懇の報告により、集団的自衛権の行使容認に向けた政府の基本的考え方を誘導し、閣議決定に至った。国会論議や国民合意を意図的に封じ、こうした世論を導くような政権運営は、手続き的に不適切で民主主義を崩壊させるものであり、決して許すわけにはいかない。

憲法解釈変更による集団的自衛権の行使容認の理由として、安全保障環境が根本的に変容し、一国のみで平和を守ることはできないとして国の責務は平和と安全を維持し、国の存立と国民の生命を守ることを上げている。しかし、「行使容認」によって、平和国家として築いてきた世界からの信頼や地位が揺らぐとともに、海外の武力行使に道を開き、東アジアの緊張を一層高める危険性が生じるなど、むしろ国民の生命や財産が脅かされることを強く懸念する。

連合北海道は、安倍政権の暴走を許さず、憲法解釈変更による集団的自衛権行使容認の閣議決定に断固反対し、憲法に基づく平和的な外交力を高めることを求めるとともに、平和を願う多くの市民と連帯して憲法の基本的人権の尊重、国民主権、平和主義の三原則の貫徹を期し、平和な社会の実現に向けて組織の総力をあげて運動を進めることとする。

以 上

集団的自衛権行使容認に向けた政府の基本的方向性に対する事務局長談話

事務局長 出村 良平

安倍首相は5月15日、直属の私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」の集団的自衛権行使は憲法9条の定める「必要最小限」の自衛権の範囲内として憲法解釈の変更を求める報告を受け、限定的な容認に向けて検討するとした基本的な方向性を発表した。

首相の私的諮問機関に過ぎない「懇談会」について、あたかも公的な権限を有し、権威があるように見せかける一方で、政府が首相の意向にそって集団的自衛権の行使を容認する報告を主導していることは歴然である。

こうした報告に基づき「政府方針」を作成するなど、既成事実化をはかり、世論を誘導しようとする手法は、手続き的に不適切であるばかりか、国民を欺き論議を封じ込めようとするなど、独善的で、民主主義を崩壊させるものである。満身の怒りを込めて、強く抗議する。

歴代内閣は、これまで憲法9条で許される自衛権の行使は「わが国を防衛するための必要最小限度の範囲」とし、「集団的自衛権を行使することは、その範囲を超えることで、憲法上許されない」との見解を示してきた。

時の内閣の一存で、これまで積み上げてきた国会論議や国民合意を否定し、憲法解釈を変更して集団的自衛権行使を容認することは、最高法規である憲法の権威を貶めるとともに、平和主義を空文化させ、権力の暴走を抑止するという立憲主義を否定する暴挙で、断じて容認できない。

集団的自衛権の憲法解釈を変更して、たとえ「必要最小限」としても行使を認めてしまえば、「海外で武力行使はできない」という憲法の歯止めはなくなり、行使の範囲は無制限に広がる。戦後、一人の戦死者も出さなかった日本の平和主義が根底から揺らぎ、かけがいのない生命が危険にさらされることは容易に想像される。憲法のもと、これまで築き上げてきた世界平和に対する信頼や地位、名誉を損ねることになり、とりわけアジアの軍事的緊張を高めることにつながりかねず、決して認められるものではない。

立憲主義を否定し、憲法の基本的理念である基本的人権の尊重、平和主義を脅かし、国民主権を奪う政治は許さない。
連合北海道は、広く道民の方々と連携し、集団的自衛権行使容認の憲法解釈の変更に反対するとともに、憲法の三大原則を尊重して貫徹を期し、その理念が息づく平和で民主的な社会の実現に向けて、組織の総力をあげて平和運動を展開していく。

以 上

 

新たな「武器輸出三原則」の閣議決定に対する談話

連合北海道事務局長 出村 良平

安倍内閣は4月1日、これまで国是としてきた「武器輸出三原則」を撤廃し、新たな武器輸出の方針を示す「防衛装備移転三原則」を閣議決定した。国会論議も不十分なまま、時の政府の一存で、憲法の平和主義に基づき確立させてきた国の基本政策を独裁的に転換する政治手法は、到底認められるものではない。

これまで政府は、平和国家として国際紛争等を助長することを回避するために、共産圏諸国、国連決議による武器輸出禁止国、国際紛争当事国とその恐れのある国の三地域について武器輸出を認めないとし、これら地域以外についても憲法の精神にのっとり武器輸出を慎むとして、全面的に禁止してきた。

「防衛装備移転三原則」では、「国際紛争を助長することを回避する」との基本政策に関わる文言を削除し、①国際条約の違反国などには輸出を禁止する、②輸出を認める場合を限定し、厳格に審査し情報公開する、③目的外使用や第三国への移転が行われないよう適正管理する、と規定している。

輸出禁止の対象は、紛争当事国を当然除外していないものの、その恐れのある国をはぶき、国際条約に違反する国に限定するなど、これまでの武器輸出の規制を緩和している。武器の輸出を認める場合は、わが国との安全保障面での協力関係がある諸国などとし、武器・兵器の国際共同開発・生産への参加も加えるなど、解釈次第では、なし崩し的に著しく輸出を拡大できる危険性をはらんでいる。

厳格審査や適正管理を打ち出してはいるが、具体的な手法など不透明であり、政治的判断が必要な場合は、国家安全保障会議(NSC)が結論を出すとして、政府の一部関係者に対応を委ねるなど、国民にとって適正な判断が行われるか、その懸念も払拭されない。

日本は、憲法に基づく平和国家の理念を掲げ、これまで非軍事的な対話や平和的な国際貢献によって、他国との関係や地位を築き上げてきた。世論調査でも「武器輸出三原則」の緩和に対して、66%の国民が「反対」を示している。「武器輸出の原則禁止」から容認に舵を切ることは、武力による問題解決や紛争を助長する恐れがあり、国際関係の緊張を高める危険性もある。

連合北海道は、国是ともいえる「武器輸出三原則」を堅持することを求めるとともに、日本社会や国際平和の実現に向けて、憲法の三大原則である基本的人権、国民主権、平和主義を貫徹し、非軍事的で対話による平和的解決を求める運動を進めていく。

以 上


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